手紙のような
僕自身の心の治療のような
残しておきたい記録のような
そんな個人的な内容です
親愛なるさくらへ
令和2年7月9日
愛犬チワワのさくらが死んでしまった
10歳11ヶ月
誕生日は7月19日
あと10日で11歳だった
誕生日はいつも好物のケーキを食べていた
もう少しで食べれたのに
食べさせたかったよ
さくらは心臓に疾患があって
2、3年ほど前から治療をしていた
亡くなる3日くらい前から呼吸が荒くなっていて
亡くなる当日の夕方に
病院受診して
先生に診てもらってお薬が増えた
病院からさくらを家に帰して
僕は夕食を買いに出かけた
買い物から帰ると
普段は玄関にいないさくらが僕を待っていたかのように座っていた
相変わらず呼吸は荒い
その時はなんとなく珍しいなと思ってさくらの頭と背中を撫でた
その後、僕は家族と夕食を食べて
なんとなく心配でさくらを見ていた
さくらは落ち着きがない様子で
家の中をうろちょろしていた
呼吸は荒い
まるで落ち着ける場所を探しているようだ
そんな中でも僕ら家族が声をかけると
近づいてくれたり、普段と変わらない顔を見せてくれたり
呼吸が荒い以外は普段のさくらだ
今日はさくらから目を離さないでおこう
僕はそう思って
いつも寝ているゲージの中に入れてあげて
さくらの見える場所で座っていた
ゲージに入ったさくらは
落ち着ける場所を見つけたかのように
その場に伏せて
いつもの眠る姿勢になった
その瞬間
やけに呼吸はゆっくりと
大きくなった
さくらの目は大きく開いて
そのまま意識を失っていた
大きく咳き込み
吐血した
さくらの名前を何度も何度も呼んだ
意識は戻らない
心臓も動いていない
呼吸もない
すぐに夜間対応の大学病院に連絡し搬送する
道中ひたすらさくらの体に触れて名前を呼び続けた
さくらは反応しない
心臓マッサージはできなかった
小さな体を強く押すことは僕にできなかった
病院に到着し先生が見てくれた
さくらは死んでいた
さくらはまるで生きているかのように
綺麗で穏やかな顔をしていた
硬く冷たくなったさくらを
家につれて帰った
今夜は一緒に寝よう
さくらの横に布団を敷いて
横になった
その日は2時間も眠れただろうか
翌日の火葬までさくらと家で一緒に過ごした
色んなことを思い出す
さくらが家に来てくれた日のこと
僕にとって夢だったはじめてのペット
あまりにも可愛くて、愛おしくて
ペットというより娘のように感じて
本当に家族だった
大袈裟かもしれない
この子のためなら
自分の命をかけても良い
そんなふうに思えた
僕はそれまで犬の寿命が15歳程度ということは知らず
ショックだった
さくらはそんなことない
ずっと一緒にいるんだって現実から目を背けていた
さくらはとにかく優しい性格で
落ち込んだり、辛い時は
すぐに寄ってきて
側にいてくれた
何か特別なことをするのではなく
ただただ側にいてくれた
可愛いくて、優しい顔を見せてくれて
それだけで
僕は安心して生活できていたのだと思う
亡くなる3日前の呼吸が荒くなった時も
今までと同じような優しい顔で
僕の側にいてくれた
本当は相当苦しかったのだと思う
僕が心配しないように
普段と変わらない様子を見せてくれて
小さい身体で
我慢してくれてたんだと思う
僕は思った
さくらの優しさ、思いやりは「強さ」なのだと
涙が止まらなかった
感謝と尊敬でいっぱいだ
最後の日は
僕が後悔しないように
病院に連れて行かせてくれて
薬も飲んでくれて
僕の帰りを玄関で待っていてくれて
家族が揃うまで持っていてくれて
普段と変わらない様子を見せてくれて
亡くなる時は家を汚さずゲージの中で
きっと痛くて、とっても苦しいのに
声を出さず
眠る時は静かで綺麗で穏やかな顔で
最後の最後まで
全て僕らに対する強い優しさ、思いやりだと感じた
さくらの命を持って
教えてもらった
現実から目を背けていた僕は
始まりと終わりを知った
これまでの僕は
後悔なく生きようと
漠然に考えていた
非現実の永遠を求めていた
好きな人と
好きなことを
終わらないように
引き伸ばす事ばかり
しかし現実はそうではない
始まりがあれば終わりがある
出会いがあれば別れがあり
生まれたらいつか必ず死ぬ
そんな当たり前のことに
僕は今のいままで目を背けていた
僕は不器用だから失敗しながらだけど
下手くそながらだけど
さくらのように
終わりが来るまで一つひとつ頑張りたい
そう思えた
まだ悲しみの中にいる
沢山泣いてしまうし
食べることも
寝ることも
ギターを弾くことも
筋トレすることも
なかなかできない
でもさくらは
僕の何倍も苦しい状況の中で
力強く普通をしてくれた
だから僕もする
ご飯を食べる
眠る
ギターを弾く
筋トレする
悲しみと苦しい中でも普段の僕をする
さくらに会いたくなった時は
体に触れる風から
さくらを感じる
草木や風鈴を揺らす風の音から
さくらの声を聞く
姿、形は変わっても
それはリアルな感触だ
さくらと僕は関わり続けている
僕の心と僕を取り巻く全ての環境の中にさくらはいる
ありがとう、さくら
てっちゃん
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